2005年に経営・財務コンサル会社として設立された株式会社たすきコンサルティング。社内に公認会計士や税理士を擁しており、高度な専門知識を要するM&A案件も迅速に進めることができます。社員の約9割は業界未経験の転職者や新卒入社の社員ですが、充実した教育制度があるため、誰もが自信を持って仕事に臨み、成果をあげられています。どのような教育を行っているのか、社内勉強会の企画と運営を担うF.Tさんに詳しくうかがいました。
[プロフィール]
株式会社たすきコンサルティング
企業提携第四部 F.Tさん大阪府出身。京都大学大学院を終了後、新卒でメガバンクに入行し、証券会社への出向を経て、2021年にたすきコンサルティングに転職。新卒や未経験で入社した社員を対象とした社内勉強会の企画・運営を担当し、新人の育成に尽力。
目次
――たすきコンサルティングにはどのような教育制度があるのでしょうか。
M&Aに関する一通りの知識を身につけられる新人研修を行っているほか、未経験で入社した社員を独り立ちさせるための社員勉強会を開催しています(新人研修に関する詳細はこちらの記事でご確認いただけます)。
社内勉強会の目的は、新卒や業務未経験の中途入社者の早期育成です。M&A仲介業務では、お客様との対話から始まり、決算書の理解、財務知識の習得、譲渡候補企業への企業概要書作成まで、多岐にわたる知識とテクニックが求められます。勉強会ではこれらの習得を目指し、繰り返し学習ができる仕組みを整えています。独り立ちの明確な基準はありませんが、お客様とのセッションおける到達点を自分で設定し、調整できる能力を身につけることが、一つの指標です。
たすきコンサルティングの社員のほぼ全員がM&A業界未経験で入社するため、プロのコンサルタントとして活躍してもらうためには教育制度を充実させる必要があるのです。
未経験者への教育制度とは別ですが、すでに成果を挙げている社員が一層深い知識を身につけるための、勉強会やスキルアップ講座も定期的に開催しています。
――社内勉強会ではどのようなレクチャーを行っているのでしょうか。
インプットとアウトプットの手法によって実践的な知識を身につけてもらっています。
インプットの勉強会ではお客様とのコミュニケーション手法のほか、決算書の読み方や財務知識、企業概要書の作成ポイントなどを座学で学んでいきます。業務を進めるうえでの基盤となる知識を強化するということです。
アウトプットの勉強会では、企業概要書を用いて譲渡先企業の情報を買手先候補に説明する練習を行っています。このほかM&A仲介におけるあらゆるプロセスで起こり得る事態を想定したシミュレーションを用意し、自分の言葉を使って対処する訓練としてロールプレイングも行っています。
M&A仲介の現場では、自分の言葉で状況を噛み砕き、わかりやすくかつ魅力的に説明をすることが求められます。そのための実践練習をすることがアウトプット勉強会の目的です。
――ロールプレイングの詳細を教えてください。
ロールプレイングでは、森田社長や私が、譲渡企業や買手企業の意思決定者の役割を演じ、参加者はコンサルタントとして仮想の面談を進めることになります。シチュエーションは実際に我々が経験してきたことを再現するようにしており、参加する社員はその場で頭を捻りながら商談を進めなければなりません。交渉力を鍛えるためにわざと無理な条件を突きつけたり、話をそらしたりするので、参加者は知識を総動員し、かつ商談が意図する方向へ進むように工夫を凝らすことになります。
地道ではありますが、このようなプラクティスを積み重ねることで実際の商談のときもうまく立ち回れるようになっていきます。
――勉強会を運営するにあたり心がけていることを教えてください。
実際のM&A仲介業務の場面で使える知識、手法を提供するようにしています。たとえ頭のなかに知識のストックがあったとしても、使えなければ意味がありません。
M&A仲介業務における「パターン」も伝授しています。売手の経営者が置かれた状況にはある程度のパターンがあります。後継者探しをする高齢の社長とアーリーリタイアを希望する若手社長とでは、事業承継や会社売却に対する考え方が異なると考えるのが自然です。過去の実績から積み上げてきたパターンを若手に共有することで、効率よくM&A仲介の仕事を理解してもらうことができます。
パターンは業種や企業の状態によっても異なります。赤字企業と黒字経営の企業では、関心事や優先事項がまったく違うのです。これらの違いを踏まえ、相手の状況を把握し適切な対応をしてもらえるようレクチャーしています。
――勉強会は、どれくらいの頻度で行っているのですか?
インプット勉強会とアウトプット勉強会をそれぞれ月2回、合計4回実施しています。所要時間は1時間程度で、主に終業後に開催します。参加人数は10名弱。基本的には講義形式ですが、参加者が受け身にならないよう、常に質問を投げかけて発言を促すことで考えるきっかけを作り、理解を深めています。
参加者は新卒や未経験者がメインであるため、勉強会の内容をきちんと理解しているかを確認しながらプログラムを進めていますが、わからないことがあれば個別に疑問に回答することもあります。
近年、入社してくる社員は学習意欲が高い人が多く、自発的に振り返りを行っているようです。さらに知識を深めたいという社員には参考書籍を紹介し、自習勉強に役立ててもらっています。
――社内勉強会の効果を感じていますか?
参加者からは「お客様の発言が以前よりも理解できるようになった」「お客様への説明がスムーズに進んだ」という声があがっています。こうした意見を聞けるのはとても嬉しく、勉強会を実施する意義を感じています。
ただし勉強会の効果測定にはまだ課題があります。参加した社員が実際にどのくらい知識を身につけられているのか、自信を持つことができているのかを確認することはできていません。そのため今後は、テスト形式を採用するか、ロールプレイングを複数の経験豊富な先輩社員に見てもらうかなどして習熟度を測定する予定です。効果を測ることでさらに質の高い勉強会を目指していきたいと考えています。
――社内勉強会を今後、どのようにブラッシュアップする予定ですか?
M&A仲介のプロフェッショナルになるためには、業務知識を習得するだけでは不十分です。相手の目的や心情によりそったコミュニケーションで、折衝を行っていかなくてはなりません。高度なスキルを要すると思われますが、ある程度は練習によってできるようになっていきます。今後は他の経験豊富な社員を巻き込み、ロールプレイングなどに協力してもらうことで、様々なケースに適切に対応できる人材を育成したいと考えています。
――たすきコンサルティングへの入社を検討する人に向けてメッセージをお願いします。
新卒や業界未経験で中途入社される方は、本当に自分が活躍できるのか不安を覚えることが少なくないと思います。しかしたすきコンサルティングでは充実した教育制度があるため、何をしたらいいのかわからないまま放っておかれるといったことはありません。共に学び、共に成長して、みんなで活躍できる環境が揃っています。皆さんの成長を全力でサポートしますので、興味があればぜひご応募いただきたいです。
The Deals編集部
「The Deals」は、M&A業界の概要、求められるスキルセット、成功するためのキャリアパス、そして現在募集中の求人情報まで、幅広い情報を体系的に提供することで、これからのキャリアをM&A業界で築きたいと考える若手の求職者を支援します。