自社の強み

「自分も経営者だったから、社長の悩みがよくわかる」。たすきコンサルティングで活躍する元社長コンサルタント

実際に経営者となった経験がある人は、M&Aコンサルティング事業において秀でた成果を挙げることができます。IT系ベンチャー企業から未経験でM&A仲介業界に飛び込み、現在は株式会社たすきコンサルティングで取締役を務めている渋谷篤郎さんに、日頃心がけていることや、仕事のやりがい、過去の経験の生かし方などをうかがいました。

株式会社たすきコンサルティング
取締役 企業提携第一部 部長 渋谷篤郎さん

1975年生まれ。早稲田大学院理工学研究科数理情報工学を修了後、大手IT企業に就職。ソフトウェアエンジニアとしての経験を積む。その後レンタルサーバー事業を営むベンチャー企業へ転職。活躍が認められ、取締役に就任する。さらに同社の子会社の代表取締役に就任。この間に2度のM&Aを経験し、M&Aが企業経営の効率化に大きく寄与することを実感する。株式会社たすきコンサルティングに入社後は、取締役として会社の経営に携わるとともに、営業部長として顧客満足を考えたM&A仲介を続けている。

大企業からベンチャーへ。エンジニアから、子会社の代表取締役へ。異色の経歴で培った現場を見る力

――渋谷さんは大手企業でキャリアをスタートさせましたが、その後、IT系のベンチャー企業へ転職しています。なぜ中小企業で働くことを選んだのですか?

大企業には安定しているという利点がありますが、自分の行く末を安易に想像できてしまうことに面白みを感じられませんでした。キャリアの先にあるものが見えすぎて、仕事に対してのモチベーションが上がらなくなってしまったのです。

一方でベンチャー企業で働いていると、会社の未来も自分のキャリアもどのように変化していくのかよくわかりません。これをリスクと捉える人もいますが、私はそこに楽しさがあるのではないかと考えたのです。人生において仕事に費やす時間は短くありません。時間が経つのを忘れるくらい没頭できる環境で仕事をしたいと思いました。

――IT系ベンチャー企業ではどのような仕事をしていたのでしょうか?

エンジニアであったためもともとは技術職として雇用されていました。しかし限られた人員で仕事を回していたため、カスタマーサポートや営業企画などさまざまな業務に着手することになりました。今振り返ってみれば、組織の仕組み作りに携わる機会が多かったように思います。その後は子会社の代表取締役に就任し、会社経営を経験することになりました。

実際にM&Aを経験してその効力を実感。世の経営者をサポートしたいと未経験でM&A業界へ

――IT系の事業者で代表取締役まで務めていたのに、なぜM&A業界に転職されたのでしょう?

2度のM&Aを経験し、その効力を実感したからです。
M&Aは、買い手にとっては事業を効率化する最良の手段の一つであり、売り手にとっては事業承継に役立つ手法です。M&Aがどのような仕組みなのかは理解していましたが、自分が当事者になったことによって改めてそのメリットを実感し、もっと世の中の経営者の手助けをしたいと思うようになりました。
M&Aに限らず「統合する」ということは優れた経営の手法だと思います。前職ではサーバーの管理を行っていたのですが、システム統合によって多くの人を介さずにサービスの提供をできるようになりました。多くの会社が集まりシナジーを創出することで、事業は効率的になるのです。
転職までしようと考えたのは、私が成約後にPMIの責任者を務めた経験が影響していると言えるかもしれません。PMIとは、成約後に経営統合がスムーズに進むよう企業の体制を整えることで、M&Aにおいて極めて重要なプロセスです。これにより、M&Aをするためには何が必要なのかが具体的に見え、仕事のイメージが湧きました。

M&A仲介業界には金儲けが好きで派手な人たちばかりだと思いこんでいた

――数あるM&Aコンサルティング会社のなかでたすきコンサルティングを選んだ理由を教えてください。

M&A自体に魅力は感じていたものの、実はM&A仲介業界にはあまりいいイメージは抱いていませんでした。金儲けが好きな派手な人たちが集っている業界だと思いこんでいたのです。しかし、たすきコンサルティングの面接で代表の森田と話をした際にその考えは覆りました。森田の話し方や表情などから「この人は信頼できるな」と感じたのです。

――入社後にギャップはありませんでしたか?

そうですね。たすきコンサルティングはお客様への報告を徹底し、情報の非対称性を最小限に努めるとともに、ルールを遵守して、誠実な経営をしていると感じました。
さらに誰に対してもフランクに相談でき、和気あいあいとした社風であったことも森田から受け取った印象の通りでした。職場の人間関係におけるストレスはほとんどないですね。
ただ、これはM&Aコンサルティング会社としての弱みにもなり得ます。社員同士の仲がいいのは誇るべきことなのですが、馴れ合いが過ぎると仕事に対する注意力が落ちてしまうからです。取締役としては、社員同士の絆や信頼関係を大切にしつつも、適度な緊張感を醸成し、各自が切磋琢磨もできる環境づくりをさらに進めたいと考えています。

経営者自身、自分のなかの優先順位がわからないときが少なくない。そこをサポートできるという強み

――仕事のやりがいを感じるのは、どのようなときですか?

経営者とコミュニケーションを重ね、適切な助言ができたときです。特にオーナー社長は雇用された社長以上に重い責任を負っています。それだけに会社への思いも強く、時には理不尽な要求を突きつけられることもあります。しかし一見理不尽に見える発言も、会社や従業員への責任感から現れてきていることが少なくありません。オーナー社長と対話を重ねることで、発言の裏にある本当の思いがわかるようになります。それらを汲んで企業のさらなる発展のための買収や事業承継のお手伝いができたときには、大きなやりがいを感じます。
また、難しい交渉を進められたときにも喜びを覚えます。譲渡側と譲受側のどちらにとっても100%満足するM&Aはほぼ存在しません。しかし少しでも満足度を上げるためには、ヒアリングを重ね、どこを譲り何を死守するのかを把握し、その希望をできる限り実現する必要があります。
意外に思われるかもしれませんが、実はその判定ラインを経営者が自分で判断できないケースは多いのです。ですから私は経営者が適切に優先順位を定めて判断を下していけるよう、検討のための材料を揃え、条件を整理するように心がけています。

――渋谷さん自身に経営の経験があることは、M&A仲介の役に立っていますか?

役に立っていると思います。M&A仲介の仕事は「社長の意思決定を支援すること」だと私は考えています。かつては私も意思決定者の立場にあったため、経営者が重大な判断を下さなければならないときに、どのような材料が必要なのかはよくわかります。

最初から「譲渡したい」と考えている経営者は少ないからこそ、たくさん会い、たくさん聞くことが大切

――この仕事の魅力はどこにありますか?

自分の年収を自分の頑張りで決められるところにあると思います。もちろんやりがいも大きいですが、やはり働くうえで収入の多寡というのはモチベーションに直結していると思います。努力の結果が年収という形で反映されやすいのがM&A仲介業の面白さだと思います。

――たすきコンサルティングで活躍していくために大切なことは何でしょうか。

M&Aの仲介営業は難しい仕事のように思われがちですが、実際にはそれほど特別な仕事ではありません。成約のためには、経営者とコンタクトを取るために電話をたくさんかけること、できるだけ多くの社長に会うことといったシンプルなことを積み重ねていくことが重要です。活躍している人は「誰でもできることを誰よりもやる」傾向がありますね。
事業承継に悩んでいても、その手段として初手から「譲渡したい」と考えている経営者は少ないものです。だからこそM&A仲介の営業職は、数多くの社長に会って話を聞き、適切な提案をし続ける必要があるのです。その過程ではくじけそうになることもあります。しかし地道に仕事をすれば必ず結果はついてきます。

限られた時間を有効に使って、顧客満足度をあげていく

――今後はどのようなことに注力していきたいですか?

取締役として会社の意思決定に携わりながら、部長として部下の育成にさらに注力していきたいです。特に重要な指導項目としているのは、部下の時間の使い方です。
M&Aはタイミングが重要です。だからこそ時間を有効に使い、できるところはスピーディーに対応していかなければ、お客様が満足するM&Aは実施できません。そこで現在は部下に「自分が何にどれだけ時間を使っているのか」の明示するようにしてもらっています。書き表すことで、何が効率化できていて、どこで躓いているのかがわかります。アウトプットを最大化するためには必要な取り組みだと思います。
もちろん、私自身も業務の時間配分は見える化し、業務効率化を図っています。

――応募を検討している人に向けてメッセージをお願いします。

M&A仲介の仕事ではお客様から激しい叱責を受けることがしばしばあります。慣れないうち「これほどにまで怒られるのか」と戸惑いましたが、案外平気になっていくものです。今ではお叱りを受けることは、仕事の過程だと捉えています。
怒られて落ち込んだ気持ちを引きずってもあまりいいことはありません。翌日には何事もなかったかのように電話できるくらいの図太さが大切です。そういった気骨のある方はぜひ一緒に働きましょう。
M&A仲介の仕事は楽しいですが、楽ではありません。どうせ苦労をするなら、前向きに悩んだ方が楽しいと私は思います。我こそはと思う方は、ぜひお越しください。一緒にたすきコンサルティングを盛り上げ、たくさんの中小企業の事業承継に貢献しましょう。

The Deals編集部

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