会社の成長

グループで包括的に外食業界をサポート。M&Aの相談が集まってくる株式会社M&A Properties

飲食店を対象にしたM&Aコンサルティング事業に取り組んでいる株式会社M&A Properties。グループ内の企業とすでに関係性のある飲食店からの「事業譲渡をしたい」「より規模を拡大したい」という声に応える形でアドバイスを行なっています。そのため働き方は一般的なM&A仲介事業会社とは大きく異なり、架電等による営業はほとんど必要ありません。株式会社M&A PropertiesのM&Aコンサルティング事業の詳細を代表取締役社長の中村幸司さんに教えていただきました。

[プロフィール]
株式会社M&A Properties/株式会社ナシエルホールディングス
代表取締役 中村幸司さん

早稲田大学理工学部経営システム工学科卒業後、大和証券SMBC(現大和証券)株式会社に入社。企業提携部に配属となりM&Aに携わる。その後、株式会社ラザード フレールでアドバイザリー事業に従事。2009年、株式会社M&A Properties(現:株式会社ナシエルホールディングス)を立ち上げ、 代表取締役に就任。さらに、最初の株式会社M&A Propertiesを株式会社ナシエルホールディングスに社名変更した後に、改めて株式会社M&A Propertiesを設立し、代表取締役となる。

案件はグループ会社等からの紹介がほとんど。すぐに面談を始められるから、営業が効率的

――M&A Propertiesの事業の特長を教えてください。

外食業界に特化していることが大きな特長です。M&A Propertiesは、飲食店への不動産仲介や求人支援、システム開発支援を行なっているナシエルホールディングスの傘下にあり、グループ会社が経営者と交流を重ねるなかで出てきた「事業譲渡したい」「規模を拡大したい」という相談に応える形でM&A仲介を行なっています。
グループ内の企業が運営しているブランドには「HOCTO SYSTEM 」、「エフジョブ」といったものがあります。飲食店経営に携わったことがある方であれば、見聞きしたことがある方が多いのではないでしょうか。とくに店舗の出店支援には強みがあり、物件情報がまとまった「Temoposmart」というWebサービスには4万社以上の飲食店にご登録いただいています。

――つまり、4万社以上の飲食店等とのつながりがあるということですね。

そうなんです。しかもここにご登録いただいているのは、出店先あるいは移転先を探しているアクティブな飲食店ばかりです。規模は個人店から大規模なチェーン店まで幅広く、多様な可能性を秘めた企業とのつながりを持つことができているんです。

さらに飲食店の多くは、物件の選定を経営者様が自らが行います。そのため私たちが不動産仲介を通じて出会うのは会社の舵取りをしている方々ばかり。不動産仲介をしているうちに人材不足の悩みがでてきたらグループ内の求人サービスを介して採用のお手伝いを行いますし、離職率を下げるためのコンサルティングサービスも実施します。FCや海外展開のための支援やマネジメントのサポートも行っていますよ。

――経営者様からのさまざまな相談を受けるなかで「譲渡したい」「新たな事業を取得したい」という声があれば、それに応える形でM&Aを行なっているのですね。

そうなんです。だからM&A PropertiesのM&Aコンサルティング事業は、グループ内等からの紹介が中心で、架電による営業を行うことはほとんどありません。すでにグループ内で信頼が構築されている状態なので、互いに無駄なく合理的に話を進めていくことができるんです。
加えて私たちは外食業界のトレンドをよく把握していますし、外食企業のM&Aの成約実績も多いので、売り手側の事情も買い手側の事情も深く理解しています。外食産業においては、他のM&A仲介業者を凌駕していると思っています。

グループ内で培われた知見を生かし、IT分野にも進出予定

――対象としているのは飲食店だけなのですか?

IT関連企業のM&Aコンサルティング事業もグループ会社と連動して動いているところです。グループ内には株式会社スタジオ・アルカナというソフトウェア開発を手掛けるITサービス事業会社があります。多数のエンジニアが所属し、飲食企業等のためのシステム支援を手掛けており、その技術やアイディアは社外のハッカソンコンテストで入賞するなど、高く評価されています。
これにより、グループ内でのITに対する知見も増えてきているので、IT分野でも、もっとM&Aのお手伝いができるのではと考えているんです。
グループ内の事業同士でさまざまな関連をもたせながら、会社を発展させています。

M&A仲介事業者が目をつけてこなかった外食産業

――M&A Propertiesはどのような経緯で設立されたのですか?

もともと、私は大和証券でM&Aアドバイザリーサービスに携わっていました。その後、外資系M&Aアドバイザリーサービスを行っているラザードフレールに転職。そこで、大和証券の同期でもあった後藤俊輔と「新しい挑戦をしてみよう」と話し、独立することにしたんです。大した資本金はなかったので、在庫を抱えるような業務はできないと、それまでに培ってきたM&Aのノウハウを生かした事業を展開することにしました。また、私がかつて不動産関連のM&A事業に携わっていた経験から宅建の資格を持っていたため、不動産に関わる仕事がいいのではないかと考えました。
ちょうどそのころ、リーマンショックが起き経営に躓く事業者が急増しました。するとあちこちの街角で「居抜き物件」が出てきたんです。これは興味深いことが起きていると思い、居抜き物件等を生業とする事業を手掛けることになりました。それが飲食店への不動産仲介事業となり、M&Aにも結びついていきました。

――飲食専門のM&A仲介事業者であるM&A Propertiesは、業界内では独特の存在です。どうしてこのようなポジションを確立できたのでしょうか?

M&A業界においては、外食産業は市場規模が小さいと思われているんです。飲食店は中小企業が多く、プレーヤー数が多いためにトレンドを追うのも一苦労。労力のわりに、得られる利益が小さいとあまり注目されてこなかったんです。少数の大手企業はありますが、それでもメーカーなどに比べれば規模は大きくありません。
しかしながら、そこにニーズがないわけではないんです。みんなが注目していないからこそ、そこに入り込めばたくさんの案件を取得できると思いました。

――さまざまな角度から飲食店の経営サポート事業を手掛けているナシエルホールディングスでは、M&Aに限らず、今後さまざまなマッチング事業を展開できそうですね。

まだまだ道半ばですが、既存サービスの強化に加え、新サービスの立ち上げなども含め、そのようなサービスを提供していきたいと考えています。

人口が減る国内だけでは、外食産業は縮小。M&Aで海外進出をサポート

――外食業界が抱える課題に対し、M&A Propertiesはどのようなサービスを提供しているのですか?

現在、外食業界は食材や物価の高騰、人手不足、賃金の上昇、人口減少による消費者数の減少といった課題に直面しています。ナシエルホールディングスではグループ内のそれぞれの得意分野を生かして、飲食店を支えています。
M&Aコンサルティング事業部ができることは、M&Aによる経営の効率化等に携わることです。飲食店は小規模な企業が多いため、プラットフォームをさらにブラッシュアップしてスムーズなM&Aができるように橋渡しをしていきたいと考えています。

――消費者数の減少に対しては、国内の企業同士をマッチングさせるだけでは解決しなさそうです。

人口が減少する国内だけに目を向けているとどうしても狭い市場でパイを奪い合うことになってしまいますので、海外展開を検討される飲食店もあります。
しかし、海外展開には独自のノウハウが不可欠。何も知らずに飛び出していけば、営業に必要な許可が降りないのに家賃を払い続けなければならなかったり、ニーズを読み間違えてしまったり、不必要な設備を購入させられたりといったトラブルに遭うことがあるんです。そこで、すでに海外でいくつか店舗を運営している企業を買収することによって拠点を築き、そこを中心に展開していく方法などを提案しています。実際に、海外展開に成功している飲食店はそのような手法をとる事が少なくありません。中小企業こそ、効率的なM&Aが必要です。

外食産業を支えることで、日本を元気にできる

――M&A Propertiesにはどのような相談がくるのですか?

大きく分けると4つあります。
「跡継ぎがみつからないので、事業承継したい」「ひとつの事業を売却したい」「さらなる成長を目指して、他社と手を組みたい」「経営が苦しいので助けがほしい」。M&A Propertiesはそれぞれのニーズと状況を紐解き、お客様の成長に寄与するための適切なアドバイスやマッチングを施しています。

――外食業界を専門にしているからこそ、感じられる事業の面白さはありますか?

外食業界は良くも悪くも参入障壁が低いため、わずかな資本金で大成功を収める人もいれば、大失敗をしてしまう人もいます。1店の経営がうまくいけば、月に100万円、多いところでは400〜500万円の利益が出ます。とある串カツの大手チェーン店は、創業から10年も経たずに上場し、時価総額は500億円を超えました。一方、借金だけを抱えて潰れてしまうケースも少なくありません。
吉と出るか凶と出るかは誰にもわかりませんが、誰もが挑戦しやすいフィールドであることは確かです。だからこそ、外食業界に挑戦する人を支えることは街や日本経済を元気にすることにつながると思います。新たな挑戦者のいない社会は面白くありませんから。
それに美味しい飲食店がある街は魅力的ですし、訪日外国人も食事を楽しみに来ていますよね。そのため居抜き物件を利用してできるだけ少ない資本金でチャレンジできるような環境を整備すること、事業譲渡などの救済策を施すことは非常に意義のある事業だと考えています。
さらに現在では、世界中に「和食」が広がっています。しかし残念ながら、海外で広がっている和食は本質的には和食と呼べないようなものも少なくありません。理念のある飲食店が本格的に展開できるよう支援することで、和食のブランディングにも寄与できると考えています。

――M&Aコンサルティング事業を通じて飲食店を支援することは、大きな意義があることなのですね。ありがとうございました。

The Deals編集部

The Deals編集部

「The Deals」は、M&A業界の概要、求められるスキルセット、成功するためのキャリアパス、そして現在募集中の求人情報まで、幅広い情報を体系的に提供することで、これからのキャリアをM&A業界で築きたいと考える若手の求職者を支援します。

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