M&A仲介の質にこだわり、顧客満足度の高いサービスを提供している小規模なM&A仲介会社が増えてきています。2022年に設立された株式会社ハレバレもそんな事業者の一つ。代表取締役社長の松本光生さんは「お客様に寄り添い、お客様の望むペースでM&Aを進めたい」と話します。「心がハレバレするようなM&Aを実施する」ことを目標としている松本さんに、株式会社ハレバレの設立の背景などをうかがいました。
代表取締役社長
松本光生さん
鳥取県出身。京都の私立大学を卒業後、地方銀行に9年半勤務。その後大手M&A仲介会社に転職。4年半の在籍期間中に20件のM&Aを成約させる。2022年に独立し、株式会社ハレバレを設立。「心がハレバレするようなM&A」の実施を目指し、顧客のペースに合わせた事業を展開している。
目次
――株式会社ハレバレはどのような会社ですか?
2022年に設立した会社です。大手M&A仲介会社から独立する形で、私が一人で立ち上げました。設立から1年半とまだ日は浅いですが、業績は順調に伸びています。
――ハレバレを設立した理由を教えてください。
お客様のペースに合わせ心情に寄り添ったM&Aをするならば、小さな組織が最適だと考えたからです。
前職は大手上場M&A仲介会社でした。ここではお客様のペースに合わせるということがどうしても難しかったんです。上場会社は株主等に売上を伸ばしていることを示していかなくてはなりません。そのため四半期ごとに売上を計上せねばならず、その締日に間に合うように成約や仲介料の入金日を設計していました。会社に求められるスケジュールを実行しようとすると、どうしてもお客様に事務処理を急いでいただくことになります。譲渡企業のオーナー様は通常業務に加えてM&Aのための準備をすることがほとんど。仲介会社の事情に合わせて無理をさせることは心苦しいものでした。そこで、よりお客様のペースに合わせたM&A仲介ができるようにと会社を設立しました。
――お客様のためを思った独立だったのですね。
そうですね。私自身はもともと独立心が強いわけではなかったのですが、モヤモヤを抱えたまま組織のなかで働き続けるよりは、本当にお客様のためになる選択ができる方がいいと思いました。M&A仲介は、お客様の事業があってこそ成り立つ生業です。多くのオーナー様にとってM&Aによる事業譲渡は一生の一度のことですから、気持ちの良いM&Aができるようなサービスを提供したいと思いました。
――ハレバレを設立後は、お客様に合わせたペースでM&A仲介ができているのですか?
はい、お客様に納得いただけるペースで正しく進められていると思っています。一方でM&Aは実施までのリードタイムが長いので、締切を設けてある程度プレッシャーのかかる状態にしなければ物事が進んでいきません。負担と納得のバランスを取りながら事業を進めるようにしています。株式会社ハレバレの社名の由来は「心が晴々するようなM&Aを経験していただくこと」。常にこの原点を忘れないようなM&Aを心がけています。
――ハレバレはM&A業界においてどのようなバリューを発揮していきたいと考えていますか?
常に高品質なサービスを提供することです。一部の大手企業のなかでは経験が少なく充分なノウハウも持たない未熟なコンサルタントも活動しています。そのようなコンサルタントが手掛けるM&Aは譲渡金額が相場よりも安くなってしまったり、付帯事故が起きたりして品質が低くなってしまうケースが度々見受けられます。ただでさえ多忙なオーナー様の負担が大きくなってしまうこともあるでしょう。実は、どのコンサルタントに委託するかによって譲渡企業の体験するM&Aは大きく異なるんです。オーナー様にとっては一生に一度のことなのに、品質が一定でないということはM&A仲介業界の課題です。
ハレバレは「M&Aをして本当に良かった」と思えるような仲介サービスを確実に提供していくことによって社会や業界に対してバリューを示していきたいと思っています。小さな会社であっても一つずつ価値のあるM&Aを実現していきたいですね。
――これまでの実績で特に印象に残っているものを教えて下さい。
ある地方の大規模な企業のM&A案件です。譲渡企業の売上は50億円、利益は5000万円から1億円に上っていました。経営状況も良好で非常に優良な企業だったのですが、オーナー様が高齢化していました。経営はオーナー様の息子さんが社長を務めており順調に推移していたのですが、オーナー様が全株式のうち70%を保有し、純資産が数十億にのぼっていたことが問題になりました。このまま現社長に会社を相続させると相続税が何億円もかかることになります。実はこのオーナー親子は他社ですでに相談をしていたのですが、問題は解決しないまま時間が過ぎていました。他社でも一般的に思いつくような施策は一通り検討をされたようです。
そろそろ本格的に解決を急がなくてはならないという段になり、私のところへ相談がありました。私は改めてM&Aを提案。マッチングが非常に上手くいき、成約させることができました。譲受側のニーズを把握していたことが功を奏し、短期間で成約させることができたのです。2番手での介入ではありましたが、非常に良い成果を残せた案件として記憶に残っています。
――ハレバレのビジョンを教えてください。
小さな会社ですので、年間何十件もの成約ができるわけではありませんし、その必要性も感じていません。顧客となる企業1社ごとにじっくりと向き合うことで顧客満足度を高め「いいM&Aができた」と感じていただくことで評価を得ていきたいと思います。
ありがたいことにハレバレはお客様の5割がご紹介によるもの。過去にお手伝いをさせていただいたオーナー様や、提携している税理士の方々からご紹介をいただいています。お客様が満足のいくM&Aを実施できているからこそ、新たな案件をご紹介いただけているのだと考えています。紹介件数は増え続けており、日々の仕事に丁寧に取り組むことの重要性を実感しています。今後もお客様満足度の高いM&A仲介を手掛けていきたいと思います。
――M&A仲介を行ううえで最も大切なことは何だと思いますか?
あらゆる工程を通じて、バランスを取ることが大切な仕事だと思います。お客様のペースを大事にすることとプロセスを進めていくこともそうですし、譲渡側と譲受側の要望の均衡を取る必要もあります。譲渡側と譲受側の要望が対立したときは、どちらの要望により理があるのかを整理し、優先順位をつけて判断していくことが求められます。どちらか一方のみに偏ったM&Aでは、みんなが心晴れやかに終わらせることができません。M&A仲介におけるとても難しいところでありますが、最もやりがいのあるプロセスの一つです。
――M&A仲介の仕事についての印象をお聞かせください。
高齢化社会において、M&A仲介は社会への貢献度が高い仕事です。事業承継ができずに倒産する企業が年々増えている状況をM&A仲介は少しずつ変えていくことができます。
一方で、私は経営支援に対してできることはM&Aだけではないと考えています。対象会社で働いている従業員の意志も汲み取りながら、その事業や経営にとっての最適解を提供していきたいと考えています。
M&A仲介の仕事は一見、高給で華やかなようですが、その内実は非常に泥臭い仕事です。体力も知力も求められるうえ複雑でタスクが多い仕事をどれだけ丁寧にできるかで品質は変わってきます。小規模でも優良な仲介を行っている企業は多数あるので、オーナーの皆様にはぜひご自身にあった仲介会社を探していただきたいと思います。
――ハレバレで働くことに興味をお持ちの方にメッセージをお願いします。
ハレバレでは誠実かつ地味な活動を積み重ねていくことを重要視しています。そのため急激な会社の規模の拡大は検討していません。着実でオーガニックな成長を目指しています。しかし、もし思いを同じくして一緒に成長していきたいという方がいれば、ぜひともご一緒できればと考えています。小さな会社ではありますが、一緒に頑張りたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をください。
The Deals編集部
「The Deals」は、M&A業界の概要、求められるスキルセット、成功するためのキャリアパス、そして現在募集中の求人情報まで、幅広い情報を体系的に提供することで、これからのキャリアをM&A業界で築きたいと考える若手の求職者を支援します。
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